差異と反復
差異と反復 ジル ドゥルーズ Gilles Deleuze 財津 理 河出書房新社 1992-11 売り上げランキング : 100,335 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
差異と反復はシンプルだが強力な書物だ。
若きドゥルーズがその博識ぶりをいかんなく発揮している。
私がこの書物であたらしく発見したことがいくつかある。
ひとつは、基本的なことだが今まで気がつかなかった点。「否定的なものはひとつの錯覚である」ということ。(本書303ページ)
もうひとつは、「類比はそれ自身からして、反復の論理学的主題であり、反復にひとつの配分的意味を与える」という点である。(本書404ページ)
ほかにも教えられることは多かったが、わが意を得たりというところも多かった。
「強度」は差異であるのだが、こうした差異は、延長のなかでも質のもとでも、取り消される傾向にある。差異は、変化がその差異を否定する傾向にあるかぎりにおいてでしか、変化の充足理由にはならない、(335ページ)などは、うまい表現をするものだと感嘆した。
認識論に関連し、「目」の役割を記述したくだり(157ページ、318ペーシ)などは、現代の常識への先駆的部分だろう。
そして、多様体に関する記述(398ページ、408ページ)などを見ていると、現代の物理学、数学、宇宙論、生物学、生態学、社会学の発展を予言しているようで楽しくなる。
まことに、訳者が述べているように、挑発的書物だ。
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